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よく分かるUTR(Universal Tennis Rating) 前編

日本プロテニス協会では、2019年より、ニュージェネレーションテニス ジュニアテニストーナメントが『Universal Tennis Rating(ユニバーサル・テニス・レーティング)』の認定大会となりました。
通称UTRと呼ばれる、少しずつ耳にする機会の増えてきたこの制度は一体どういったものなのでしょうか?
この記事では前後編に分けてUTRのご紹介をしたいと思います。
前編ではUTRの概要について、後編ではUTRの特徴的なレーティングの仕組みとQ&Aをご紹介します。

参考:What is UTR?(UTR Youtube公式チャンネルより)

前編 目次

  1. ■UTRはテニスの新しい評価制度
    • 一般的なランキングとの違い
    • 世界共通の指標
  2. ■世界でのUTRの広まり
  3. ■UTRの先にあるもの

■UTRはテニスの新しい評価制度

UTR(ユニバーサル・テニス・レーティング)は、年齢や性別や経済的な地位に関わらず全てのプレイヤーにとって、テニスをより身近に、手頃に、そして楽しくすることを目標に、2008年に米国で創設されたテニススキルの評価制度の1つです。その後の10年あまりで、世界中のテニス界において急激に浸透、成長してきました。

UTR 公式サイト(英語)
https://www.myutr.com/

一般的なランキングとの違い

テニスにおける評価制度といえば、まず思い浮かぶのがATPやWTAといったランキング制度です。これらの制度ではポイント数によりプロプレーヤーを1位、2位、3位……と順位付けしています。

一方UTRでは、評価の尺度を1から16.50までの数値で表してスコア化することが大きな特徴です。例えば、2020年8月20日現在ではジョコビッチは16.12、ナダルは16.10といったスコアです。

ほとんどのランキング制度は獲得ポイントに応じて順位が決定されるもので、他プレイヤーに対する自身の相対的な位置を表すにとどまりますが、UTRのスコアは個々のプレイヤーの実力を数値化し算出するものなので、順位よりも正確に自分自身の実力を知ることができます。

この数値を算出するにあたって、どういった要素が影響するのか気になる所ではありますが、それについては後編でご説明したいと思います。

世界共通の指標

さらにUTRでは、その創設の目的にもある通り、プロやアマチュア、年齢や性別、国籍等に関係なく一つの枠組みの中で評価を行うことも特徴です。つまりUTRにおいては、日本のジュニア選手であっても、世界に名立たるトッププロと同じ尺度で、自身の評価を数値化し保有できるのです。

■世界でのUTRの広まり

現在UTRのデータベースには1,500万以上の試合結果と200以上の国からのデータが集積されており、登録しているプレイヤーの数は全世界で180万人にも上ります。(2020年8月現在 UTR公式サイトより)

ATPやWTAの全てのプロプレイヤーはUTRを使用していますし、昨今、全米では大学などの教育・育成機関でも導入が進んでおり、トッププロを見出してきたコーチやスカウトマン達の間でも、選手を評価する際にUTRのスコアを重要視することが増えてきました。

日本プロテニス協会では2019年8月よりJPTA ALL JAPAN JUNIOR TENNIS TOURNAMENTにUTRを導入を開始しましたが、日本国内では他にも導入を進めている団体が徐々に増えているようです。

■UTRの先にあるもの

それでは、UTRでの導入によって今後何が可能になるのかを見ていきましょう。

自分の成長を確認

UTRの特徴である一つの枠組みで評価を行うシステムにより、全てのテニスプレイヤーと比較して客観的に自分の上達度合いを確認することができます。

UTRに登録すると個人ページが作成され、自身の評価の確認や試合のスコアの投稿が可能となります。
他にも、地域や性別などでプレイヤーを検索したり、他のプレイヤーのUTRを表示することもできます。(下の画像はメドベージェフ選手のページを閲覧したもの)

メドベージェフ選手のUTRページ。UTRの数値や試合結果が閲覧できる。(クリックで拡大)

過去の数値の変動なども確認することができる。(クリックで拡大)

世界大会への出場

UTRを導入している大会への出場等により自身の評価を高めることによって、エディハーやオレンジボウルといった世界大会でのシード権を獲得できたり、本戦・予選に参加できる可能性が高くなります。

アメリカへの留学

アメリカでは、ジュニア選手が大学に進学する際に、その大学のコーチやスカウトはUTRのポイントを判断材料の一つにします。UTRの評価を上げれば、アメリカへのテニス留学の道へこれまでより一歩近づくことに繋がります。

やはりUTRの導入で大きく変わることといえば、日本国内での活動であっても、UTR対応の大会に参加してレーティングを高めていけば世界を視野に入れた活動がぐっと近づく点でしょうか。

●最後に

ここまではUTRの概要をご説明しましたが、次回はUTRのレーティングがどのように計算されるのか、レーティングを上げるのにどのような行動が効果的なのかといった詳しい仕組みについて見ていきます。